プロセス重視主義
いまでも野村は、見抜く力、読み取る力にかけては、大方の現役選手に負けない自信がある。プロ野球の世界で全神経を集中して、何十年もクセを見抜く訓練を続けてきたのだから、そこらの選手とは見えるものがちがうのだ。キャリアは嘘をつかない。そこには、…
打者が三振したとする。そこで「なぜ、三振したのか」で終わってはいけない。「なぜ、打てなかったのか」まで考えるのだ。裏側まで検討しなければ、今後の対策としては十分とは言えない。
反省は基本的に嫌な作業である。過ちを受け入れなければならないし、思い出したくないことと向き合わなければならない。しかし、反省があるから次の機会への想像が生まれ、実践につながっていく。好循環は反省から生まれるものなのだ。
運、不運には、必ずと言っていいほど、それなりの理由や過程があるもの。その意味で、運も実力のうちだし、自ら努力してつかまえるものだとも言える。自分は運が悪いと嘆いたり、今回は運がなかったと済ませてしまう人も多いが、それでは幸運をつかむことが…
努力とは地道なものである。努力に即効性はない。小さなことを単純にコツコツと積み上げるしかない。そして、それがやがて大きな成果につながるということが頭でわかってはいても、継続させることは並大抵の意志ではかなわない。努力という言葉は、まさしく…
最初は「今日だけ」でいい。「その日1日だけ」努力してみる。そうすれば、「明日もやってみようか」となる。2日やり終えれば、さあ3日目も…。「3日続けば1年続く。1年続けば3年続く」。
野村は現役時代から引退後のことを考えてきた。多くのプロ野球選手が引退してはじめて、次の行き先を考え始めるが、それでは遅いのだ。将来どうあるべきかを考え、日々勉強して準備をしなければならない。
人より努力をしたのに、結果を出せない人は多い。これは「練習をたくさんした」というところで満足しているからだ。「努力による結果」ではなく、「努力そのもの」が目的になっているのである。
現役時代から野村は「メモ魔」だった。興味を惹かれたことは何でもメモしていた。
「一」ははじまりであり、基本であり、本質、すべてでもある。「一」がなければ「二」も「三」もない。「一」の内容と結果がその後を決めるのだ。
仮にもプロのピッチャーが簡単に打てるボールを投げてくるわけがない。どんな一流バッターでも10回のうち7回は失敗する。しかし、どんなにいいピッチャーでも失投はある。その失投を確実にモノにするために必要なのが、入念にして周到な“準備”。一流と二流の…
毎日のように選手に伝えた言葉。よい結果を生むためにはよいプロセスが必要であり、きちんとしたプロセスを踏むからこそよい結果が生まれる。
「人が自分を見ている」という意識があるかどうか。日々をそういう姿勢で送っていれば、自然と経験やノウハウなどが蓄積され、それらを必要とし、活かす場が必ず与えられる。
努力は続けていれば、いつかは必ず実を結ぶ。テスト生から三冠王まで上り詰めた野村自身が何よりの証拠。実を結ばないのは、「努力即好結果」と期待するから。
女性を口説くためには、ただやみくもに迫ればいいというものではない。相手の性格や嗜好などさまざまな情報を集め、どうすればこちらを振り向いてくれるか、それなりの作戦を立てる必要がある。相手の反応や態度から心理を読み、効果的な方法でアプローチし…
「予」は「あらかじめ」と読む。あらかじめ感じ、あらかじめ想像し、あらかじめ測り、あらかじめ防ぐ……ただ漠然と日々を過ごすのではなく、常に「予」を大切にし念頭に置いていれば、おのずと正しいプロセスをたどることになる。
自信を付けさせる方法。高いレベルの過程が、よりよい結果を生む。「ウチの練習は他と違う」と選手にプライドを持たせること。
大切なのは失敗を次につなげること。結果よりプロセスを重視する野村イズム。
若手選手と接するときは特に大切。打者がカウントや状況、配球パターンなどを考慮して、結果として失敗した場合、「できるだけの準備をしたのだから」と叱らない。「全力を尽くした上での失敗から学ぶことは少なくない」と知っているから。
みな「結果がすべて」と言うくせに、その裏にあるプロセスを重視しない、と感じている。野村は「プロセス」重視主義。結果よりも過程に重きを置く。だが、「結果」を軽んじているのではない。「真の意味で“結果”を追い求めるなら、やるべきことをやらないと…
努力に即効性はない。いつ成果が現れるかもわからない。努力の人も、決して楽しみながらやっていたわけではない。いつ成果が出るのか、いったい成果は本当に出るのか、不安にもがきながら、積み重ねていた。そして、今こそ言える。「努力には必ずいつか成果…
ヤクルト監督として、3度目の日本一に輝いた1997年シーズンを振り返って。
野村の基本哲学。プロセス主義である。「大昔から選手に伝え続けていること」。
天才と称される長嶋茂雄もイチローも、人の何倍も努力して今の地位を築いた。レギュラーになっていく選手は「努力を続けることができる。結果が出たことに対して興味が沸き、それが好奇心へと発展するから、好循環が生まれる」。
「正しい努力をせよ」。これこそ、成長を促し、よい変化をもたらす。
プロセス主義の野村の持論。失敗から何を学ぶか、ムダから何を学ぶか。それが問われる。
負けに不思議の負けはない。
「我々は結果主義。よい結果を出すためには、どれだけの準備をしたか、で決まる」。
ラッキーで勝利を拾うことはあるが、どんな敗戦にも必ず敗因がある。不運だけによる敗戦はない。それを厳しく自己分析することが、次の勝利を導くための第一歩。勝因ではなく、敗因を徹底的に分析する。
選手が自分なりの考えを示せば、結果は問わない。逆にヒットが偶然出た場合、「次につながらない」とあまり喜ばない。一度もバットを振らず三球三振に倒れても、「全部まっすぐを待っていたが、三球ともカーブが来た」と理由があれば怒らなかった。