野村再生工場
自分の持っている特技や長所を最大限に活かし、それで勝負する。即戦力といえる技量をひとつでも持っていれば、チャンスは与えられる。これは就職難で悩む若者にも共通するアドバイスかもしれない。
選手の信頼があってこそ、初めて監督は自分の目指す野球を実践できる。監督就任最初のキャンプでは、どのチームでも選手をミーティング漬けにし、野球の知識はもちろん、人生論や哲学など野村の持っているすべてを選手にぶつけ、意識改革と信頼獲得を図った…
「あらゆるレベルの選手の気持ちがよくわかること」。これが自身の一番の強みだと野村は語る。テスト生として南海に入団して二軍で下積み時代を過ごし、一軍で三冠王を獲得してチームの中心となった。その後、南海を解雇され、45歳まで現役を続けた。一番下…
“再生工場”と言われた野村は、他のチームで活躍できなかった選手たちに「足りないもの」に気づくきっかけを与え続けた。
「自分はこれで精一杯だ、自分の力はもはやここまでだ」と自己限定するのは、低いレベルで「妥協」するから。壁にぶつかると「オレはこんなもんだ」とあきらめて努力しなくなる。「中途半端な選手ほど、この傾向が強い。こんな考えだから、中途半端な選手で…
そのきっかけを与え、他球団で解雇された選手たちを再生させてきた。
真の指導とは、新たな選択肢や視点を与え、試させて、気づかせること。
“再生工場”と言われる野村は、「選手の考え方を変えるのは、本人が気づくことができるか、にかかっている。指導者は気づかせてやることが大切」と説いた。あくまでも「変わろう」とする本人の意思が大切。自分を変えられるのは、自分しかいない。
2008年6月18日の阪神戦で黒星。監督通算最多敗戦となる1454敗目を記録した。弱小球団を率いて再建してきた名将の“勲章”でもある。
「再生に成功した選手は、すべてをやり尽くさないまま、ただ結果が出ないから解雇された者がほとんど」。たとえば、投手が球種をひとつ覚えるだけでガラリと変わる。「方法を伝授し、考え方を変えさせる。これぞ再生の秘訣」。“再生工場”と言われる野村が、…
野村自身、テスト入団した苦労人。ひたむきでがむしゃらに取り組み、何とか入団できた。だが入団1年でクビを言い渡され、涙ながらに何度も頭を下げて契約を延長してもらった経験もある。だから、“ここを落ちればどこにも行く場所がない”という人間の貪欲さと…