根拠を持て
やけくそは、ただやみくもに賭けに出るだけ。どうしてそういう行動を取るのか根拠がない。あったとしても、直感による判断だ。一方、開き直りは勇気ある決断である。
コントロールに不安がある投手なら、「最低5球続けてコースに投げられるまでは練習をやめない」というように、自分なりの課題を課しながら練習を行うべきなのに、たいがいの選手はそこに気がついていない。何の工夫もせず、ノルマをこなすかのように漠然と投…
ヤクルト監督時代、正捕手に抜擢した古田敦也に伝えた言葉。「徹底的に配球を勉強しろ。オレのそばから離れるな」。
いくら判断が正しかったとしても、決断しなければそれは絵に描いた餅にすぎない。だが、決断には基準となるものがない。材料がない。だから迷う。野村は「これに賭ける」という対象を探し出すことで多くの決断を下してきた。
知識は多いほどいい。知らないより知っていた方がずっといい。けれども、固定観念と先入観は百害あって一利なしである。野村は、現役時代も、監督になってからも、少しでもいいと思ったものは何でも試してみる一方、自分に合わないと思ったら、「よい」とさ…
選手に頻繁に言う口癖。知力の戦いに厳しさを求めている。
「だから判断は間違ってはいけない。基準があるのだから。決断は賭けである。何に賭けるかが大切」。
若手選手と接するときは特に大切。打者がカウントや状況、配球パターンなどを考慮して、結果として失敗した場合、「できるだけの準備をしたのだから」と叱らない。「全力を尽くした上での失敗から学ぶことは少なくない」と知っているから。
捕手として、味方投手に何を投げさせようか苦心していた日々、「敵投手の持ち球を、敵の捕手はどう使いこなしているのか、いかなる意図でサインを出しているのか、知ることで優位に立てる」と気づいた。ライバルの立場になることで、思わぬヒントが隠されて…
「3-2というカウントは面白い。打者は2-2まではボール球を打たないように気をつけるのに、3-2になるとストライクが来ると思い込む。選球眼のタガが緩む。ボールの誘い球につい乗ってしまう」。「ただし、打者の選球眼の分析をしっかりしておくこと」。
捕手の条件。セオリーどおりではダメ。ときには奇策を交えないといけない。
相手打者が「いい球を見逃す」「いいバッティングをする」「誘い球に手を出してこない」。捕手はそこで「なぜ?」と考える。「一球一球が、なぜ?なぜ?の連続である。捕手は細かい情報が欲しいのだ」。
「結果がわからないから決断が必要。結果がわかっていることに、決断は必要ない」。
選手が自分なりの考えを示せば、結果は問わない。逆にヒットが偶然出た場合、「次につながらない」とあまり喜ばない。一度もバットを振らず三球三振に倒れても、「全部まっすぐを待っていたが、三球ともカーブが来た」と理由があれば怒らなかった。
現役時代も、監督になってからも、投手に伝えている言葉。「捕手のサイン通り、ただなんとなく、という投球ではダメ。一球一球に根拠を持て」。
「一球入魂」が持つ本当の意味。