信は万物の基を成す
才能があっても人徳が備わっていなければ、家に主人がおらず、使用人が好き勝手に動いているようなものだ。
人の悪口とは本来は否定的なものであるが、野村は悪口を言うか言わないかを信用度をはかるバロメーターとしても使っている。周囲との対立を極端に避ける人間は、自分の意見を押し隠したり、相手によって意見を翻したりする傾向がある。その人の本心が読み取…
ある財界人によると、経営者に最も大事なのは「熱意」だという。「学力、知識は少し劣ってもいい。熱意の劣っている人を経営者にしてはいけない。熱意のある人には人がついてくる」。野村も、熱意のない人間には監督は務まらないと思っている。プロ野球の監…
野村の長い野球人生の中で最も幸福で充実していたのが、ヤクルトの監督を務めた9年間だった。相馬和夫球団社長は野村を全面的に信頼し、もしも野村が失敗した場合はすべての責任を取ると言い放ち、その姿勢を貫いた。その信頼関係の下、野村は安心して自身の…
選手の信頼があってこそ、初めて監督は自分の目指す野球を実践できる。監督就任最初のキャンプでは、どのチームでも選手をミーティング漬けにし、野球の知識はもちろん、人生論や哲学など野村の持っているすべてを選手にぶつけ、意識改革と信頼獲得を図った…
いくら話の内容が正しくても、人間性に問題がある人は信頼を得ることはできない。
野村の好きな言葉。「信」とは、信頼、信用、自信。「信」なくしては、何もはじまらない。
ケチの人は、人徳を得られない。いくら卓越した知識、理論、技術を持っていたとしても、周りの人間はついてはいかない。人間性や人望などを含めたトータルな人間としての魅力が、リーダーには必要不可欠。
負けたとたんに信頼関係は崩壊する。監督は選手と戦い続けなければならない。だから「選手は敵」なのだ。
自信を付けさせる方法。高いレベルの過程が、よりよい結果を生む。「ウチの練習は他と違う」と選手にプライドを持たせること。
選手から見て、「ああ、このリーダーは勉強しているな」ということが言葉で伝わることで、信頼や尊敬につながっていく。
選手から見て、「ああ、このリーダーは勉強しているな」ということが言葉で伝わることで、信頼や尊敬につながっていく。
監督と選手の一体感が、チームに本物の力をもたらす。
リーダーのたくさんの知識、経験、視点こそが、選手の心を揺さぶる。「選手に感動させなきゃな」。
コーチは教えたがりではダメ。選手自身の中に疑問を生じさせ、向上するための知識欲が充満する方向へ導くのが、本来のコーチ術であり、指導の道。
新人の頃、ハワイキャンプで門限を破って遊んでいた先輩が、監督からひんしゅくを買ったのを機に、野村が一軍での出場機会を得られるようになったことから。
「人材育成とは自信を育てること。つまり、不安材料を取り除いてやること」。
「キャッチボールとは思いやりの心でするもの。受けやすい、投げやすい所に投げる。これこそがチームワークの原点」。
ヤクルトの相馬和夫球団社長の言葉を意気に感じて。ヤクルト本社の役員大半が野村の監督就任に反対した中、「失敗したら、野村と一緒に私も辞めます」と啖呵を切って信念を貫いた人。「心が揺さぶられた」。
責任感は、自分に与えられた役割に対する「ここまではやらなければいけない」という気持ち。自覚は、「ここまでやって当然」という気持ち。個ではなく、“チーム(組織)の中の個”を意識している。信頼感とは、監督と選手がお互いに持つ信頼感、選手が自分自…
自分を知り、愛することで、戦いに挑める。
王貞治元ソフトバンク監督を評して。ソフトバンクの選手たちは、王監督を尊敬し、その気持ちを口にしていた。「王監督のために」「王監督を胴上げしたい」など、よいムードが漂っていた。
「怒るは感情のまま。叱るは愛情がないとできない」。怒ると叱るの違いを、野村はこう定義する。
好かれることを気にして気疲れしている人、嫌われることを恐れて本音が言えない人には耳が痛い。
「適材適所」は、リーダーにも求められる。
グラウンドで、試合前にミーティングで、選手に飛ばすゲキ。責任はリーダーが取る。だから、選手は全力を尽くせる。