「野村四録 戦略の書 組織を動かす極意」
原理原則とは、一語で言えば「理」である。野球というスポーツの勝敗を握るのは、7〜8割が投手である。投手が相手打線を0点に抑えられれば、100%負けない。逆に、味方打線が10点取っても、100%勝てるとは限らない。だから、理にかなった野球をするなら、投手…
打者が三振したとする。そこで「なぜ、三振したのか」で終わってはいけない。「なぜ、打てなかったのか」まで考えるのだ。裏側まで検討しなければ、今後の対策としては十分とは言えない。
弱者が強者と戦うときは、間違っても対等に勝負しようと思ってはいけない。戦いとは騙し合いである。正攻法ばかりでもダメだし、奇襲ばかりでもダメ。機を見て奇襲を仕掛けるのが常套手段なのである。
リーダーになると、自分の意見に賛同してくれる人を周囲に置きたくなるが、それでは組織としての成長は止まってしまう。勝ちたいなら、自分に進言してくれる人、それも、根拠を持って発言してくれる人をそばに置くべきだろう。
戦力が整った強いチームを倒すにはどうしたらいいか? ひとつにまとまるしかない。チーム一丸となって強者に立ち向かうしかないのだ。そういうチームをつくらなければ勝てないということだ。
優れた人物は他人と協力し合うが、むやみに群れることをしない。つまらない人物ほど簡単に同調するが、真に他人と理解し合うことがない。
中国・明時代末の混迷の時代に生きた政治家・思想家である呂坤が『呻吟語』においてリーダーの資質を順に3つ挙げている。もっともリーダーに適しているのは「深沈厚重」。ものごとに同日、どっしり落ち着いて深みのある人物である。2番目は、「磊落豪雄」。…
「私が責任を持ちます。結果が出なければ、私も一緒に辞めます」これは、当時のヤクルトの球団社長だった相馬和夫さんが役員たちに対して言い放った言葉である。野村は、相馬社長からリーダーが備えるべきもっとも大切な条件のひとつを教えられた。リーダー…
ある財界人によると、経営者に最も大事なのは「熱意」だという。「学力、知識は少し劣ってもいい。熱意の劣っている人を経営者にしてはいけない。熱意のある人には人がついてくる」。野村も、熱意のない人間には監督は務まらないと思っている。プロ野球の監…
政治史や政教について書かれた中国最古の歴史書である『書経』に、この言葉がある。トップには、自分の考えが正しいとばかりに思っているタイプがとても多い。野球でも監督としての信念は必要だが、まわりの意見を聞く姿勢がなければ、勘違いして謙虚さをな…