感謝の気持ちを育む
個人の数字も大事だが、自らが所属するチームに貢献することがもっともっと大事だ。このことを理解し実行する人間が組織のなかに多ければ多いほど、より強固なチームへと成長していく。
人生とは縁そのものだと考えている。人との出会いが人生をつくっていると言ってもいい。広い世界でその人と出会ったということは、それだけでなにか意味があることだ。
人間は決してひとりだけでは生きていけない。人に対する感謝はもちろんだが、社会や自然に対する感謝、さらに宗教を持つ持たないにかかわらず、この世を動かしている大いなる摂理に対する感謝など、我々が感謝しなければならないものはたくさんある。
野村の長い野球人生の中で最も幸福で充実していたのが、ヤクルトの監督を務めた9年間だった。相馬和夫球団社長は野村を全面的に信頼し、もしも野村が失敗した場合はすべての責任を取ると言い放ち、その姿勢を貫いた。その信頼関係の下、野村は安心して自身の…
親孝行=感謝の心と言える。親孝行は、大成するための必要にして最低限の条件。
自分だけが気持ちよく投げるのではなく、どうすれば相手も気持ちよく受けられるか、という思いやりの心が必要。そうすることで、おのずと正しいフォームで投げることにつながるだけでなく、チームワークも生まれる。
親に感謝し、恩返しをしたいと思えば、選手として大成し、大金を稼げるようになるしかない。「大成した選手は例外なく親孝行だ」。
裏方と呼ばれるスコアラーやバッティングコーチの仕事ぶりを取材陣に話し、報道を通して感謝を表した。「私は、第三者を通じて褒めることが多い」。
「あのとき、母が他界していたら、今の自分は100%なかった。小学2年のときと3年のとき、母は二度ガンに見舞われ、戦前の医学でありながら奇跡的に助かった」。「苦労しながら、病弱な体で頑張りぬいて支えてくれたから、今の私がある」。プロ野球界で選手・…
3歳のとき父が戦死し、母子家庭で貧しい生活を強いられた幼少期だったが、母の愛情に育まれ、たくましく前向きに夢を持って成長したと自負している。大切なのは、形あるものではなく、愛情という無形のもの。
感謝の気持ちは、言葉にしてこそ伝わる。
選手に対して、口を酸っぱくして伝えた言葉。裏方の協力があって、はじめていい成績が残せる。
ヤクルト監督時代の1997年5月。神宮外苑では濃い紫色のつつじが満開になる。花の美しさを伝えた記者に、野村はその美しさではなく、味で答えた。貧しい少年時代だった。3歳上の兄と新聞配達、アイスキャンディーを売り、子守などをして家計を助けた。新聞配…