「リーダー論 〜覚悟を持って道を示せ〜」
野村の好きな言葉。リーダーの究極の仕事は「人を遺す」ことだと野村は考えている。
現場は「即戦力のピッチャーが欲しい」と要求しているのに、フロントは人気目当てで甲子園を沸かせた高校生ピッチャーを獲得にいったり、現場が足の速い野手を必要としているにもかかわらず、ろくに走れも守れもしない長距離バッターを獲ってきたりするとい…
荒川博のもとで素振りする王貞治を目の当たりにして。ぶら下げた紙を真剣で切る練習をしていた。「すさまじい殺気が漂っていた」。
「計画」「実行」「確認」は、どんなことにも通用する仕事の三要素である。
理想があり、それに届かないときに出るのがボヤキ。それは自分自身も対象となった。「思うように選手を動かせないなんて、どれだけオレはヘボなんだ」と…。
選手の隠れた才能や長所を見抜き、引き出し、活かす方法を見つけるのは、指導者の責任であり、使命。
野村がよく選手に聞いた言葉。「自分は何のために仕事をしているのか。将来どうなりたいのか」という目標、ライバル、イメージをはっきりさせることが非常に大切。
これは個人だけでなく、組織に対しても言えること。
かく言う野村も、ヤクルト時代を知る池山隆寛や橋上秀樹に言わせると、「ものすごく怖かった」という。宮本慎也は、野村の姿が見えなくても、気配で来たことがわかったという。空気が変わったらしい。いずれにせよ、リーダー的立場にある人間は、そこにいる…
いくら判断が正しかったとしても、決断しなければそれは絵に描いた餅にすぎない。だが、決断には基準となるものがない。材料がない。だから迷う。野村は「これに賭ける」という対象を探し出すことで多くの決断を下してきた。
“名コーチ、必ずしも名監督たりえず”の理由。バッティング担当、ピッチング担当、守備走塁担当などの各部分を担当するのがコーチ。各部分を掌握しながらも常に全体を見据え、どのように行動すればよいかを決断するのが監督。コーチは「判断」はしても「決断…
自分の意向と指示によって人を動かす限り、「結果の責任はすべてリーダーがとる」という態度はすべてのリーダーに必須。リーダーは振るえる権限が大きいぶん、伴う責任も当然大きいのである。
組織が発展するか、それとも衰退するかは、リーダー次第。
阪神監督2年目のオールスター期間中、久万俊二郎オーナー(当時)に対し、クビを覚悟で球団の心臓である編成部の改革を迫った。野村の退団後、阪神は金本知憲や伊良部秀輝、下柳剛らをFAで獲得したほか、ドラフトでも有力選手を積極的に狙いに行くようになっ…