組織・チーム
誰かの犠牲によって勝利をおさめたとき、それを正当に評価してやることが非常に大切。
監督をしているとき、自分のチームの選手とはプライベートでも食事に行かないと決めていた。選手の中に「自分は誘われなかった」と気分を害する選手が必ず現れるからである。それはやがて監督批判となり、選手もやる気を失っていく。チームにとって大きな損…
どのチームにおいても野村が真っ先に行ったのが「意識改革」「選手に気づきを与えること」。
フォア・ザ・チームとは、「チームのために自分はどのように役立てばいいのか」を常に念頭に置き、実践すること。それができる人間が多ければ多いほど、組織は強くなる。
野球で言えば、エースと四番がそれに当たる。中心の考え方と行動は、他の人間に伝播する。
考え方も氏素性も異なる人間を統率し、同じ目標に向かって進ませていくためには、最低限の秩序やルールが必要。それを無視して各自が勝手に行動すれば、組織はまとまらない。当然、よい仕事もできない。
ヤクルト監督時代、優勝を決めたあと、消化試合でBクラスのチームと対戦した。そのチームの選手は野村の顔を見ても「こんにちは」と言うだけだった。そのあと巨人の選手と会うと、皆が口々に「おめでとうございます」と言ってくれた。「さすがは巨人だな……」…
「一本でも多くヒットを打ちたい」「一勝でも多く勝ちたい」と考えるのは正しい。しかし、それが「自分の成績を伸ばすことでチームに貢献する」と変換されてしまってはいけないのだ。「チームのために成績を伸ばす」とならなければいけない。前者は「チーム…
ヤクルト監督時代、エラーをした選手がベンチに戻ってくると「ドンマイ、気にするな」という声がかかった。それを聞いた野村は烈火のごとく怒った。プロならば失敗を「恥ずかしい」と思わなければならない。失敗を恐れてはいけないが、それを恥と思わなけれ…
組織論の大原則。中心いかんによって、組織が機能するか否かが決定される。中心は単に技量が優れているだけでは足りない。「チームの鑑」、すなわち、他の人間の模範であることが求められる。中心が仕事はもちろん、私生活においても自分を厳しく律し、真摯…
自分だけが気持ちよく投げるのではなく、どうすれば相手も気持ちよく受けられるか、という思いやりの心が必要。そうすることで、おのずと正しいフォームで投げることにつながるだけでなく、チームワークも生まれる。
負けたとたんに信頼関係は崩壊する。監督は選手と戦い続けなければならない。だから「選手は敵」なのだ。
阪神監督時代、久万俊二郎オーナー(当時)と3時間半会談し、編成部の大改革を迫った。相手が年上でも、大経営者でも、臆することなく発現するのが野村流。チーム改革への情熱、野球に関して譲れないプロ意識が心を突き動かした。
「人間を預かり、動かす地位にいる」。この重さを自覚する者だけが、監督になる資格がある。指導者には言葉が不可欠。
自信を付けさせる方法。高いレベルの過程が、よりよい結果を生む。「ウチの練習は他と違う」と選手にプライドを持たせること。
指導者は確固たる意志、毅然とした態度でいること。指導者がブレると、組織は大きく動揺する。
そこから逆算して「今、何が必要で、どういうことをすべきかを的確に判断し、実行する力」が必要。
川上哲治監督が率いたV9時代の巨人の強さを見て。
川上哲治監督が率いるV9時代の巨人こそ、野村の理想のチーム。「自分たちこそ球界の盟主、プロ野球を牽引している」というプライドが見えたという。
特に③は、何を壊し、何を創造し、何を守るのか、その見極めが最も大切。
人は悪い環境にいれば、流されてしまうもの。ポジティブな空気、言葉が人を育てる。自信を与える。
低迷したチームに必ずあったのが派閥だった。王貞治もダイエー監督に就任した頃、南海時代からの派閥を一掃した。
V9時代の巨人は、まずいプレーをした選手には、味方からも容赦なく厳しいヤジが飛んだ。
“弱者の戦法”として必要な5つの事柄。
監督と選手の一体感が、チームに本物の力をもたらす。
リーダーのたくさんの知識、経験、視点こそが、選手の心を揺さぶる。「選手に感動させなきゃな」。
愛情あっての理論やアドバイス、理論に基づいた愛情など、指導者は発信すべき。
裏方と呼ばれるスコアラーやバッティングコーチの仕事ぶりを取材陣に話し、報道を通して感謝を表した。「私は、第三者を通じて褒めることが多い」。
コーチは教えたがりではダメ。選手自身の中に疑問を生じさせ、向上するための知識欲が充満する方向へ導くのが、本来のコーチ術であり、指導の道。
形に表せない力こそが大切。それを実感できるか。