野村克也 名言集

仕事に挫折したとき、組織に悩んだとき、人生に苦しんだとき… 野村克也の言葉があるじゃないか。ノムさんの人生哲学が凝縮された名言集。

「野村の流儀 人生の教えとなる257の言葉」

勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし

ラッキーで勝利を拾うことはあるが、どんな敗戦にも必ず敗因がある。不運だけによる敗戦はない。それを厳しく自己分析することが、次の勝利を導くための第一歩。勝因ではなく、敗因を徹底的に分析する。

勝っているときが一番怖い。リードしているときが一番怖い

「得意の時、すなわち失意の悲しみを生ず」。勝って得意になったときには、すでに負ける要素が忍び込んでいる、という意味。野村は中国の古典を好み、『菜根譚』の言葉を頻繁に使う。

土壇場を乗り切るのに必要なのは勇猛ではなく、冷静な計算の上に立った捨て身の精神

無策のまま猪突猛進するのは、単なる投げやりである。

「開き直り」とは、その瞬間に自分の持っているすべてを出しきり、燃焼すること

「やけくそは無策。開き直りは、やることはやったから“人事を尽くして天命を待つ”こと」。

勝負の選択には、二つのことが考えられる。安全策を取るか、奇策を取るか、どちらかだ

勝負とは、セオリーに基づきながら奇策をどう組み込むかである。

勝つことへの執着心こそ、チーム愛の原点

チームが強いと、チーム愛は自然と育つ。勝つことで結束が強まる。

優勝というのは強いか、弱いかで決まるんじゃない。優勝するにふさわしいかどうかで決まる

勝利に対する野村の考え。イギリスのことわざにも「ダービーは常に強い馬が勝つ。だが、いちばん強い馬が勝つとは限らない」というものがある。

どうやったらライバルとの競争に勝てるか考えたとき、1日24時間の使い方の問題だ、と思った

南海にテスト入団した1年目のオフ、球団から解雇通告を受けた。「もう一年やらせてください。故郷に帰れない。クビなら南海電車に飛び込みます」と泣いて頭を下げた。球団マネージャーは根負けして契約延長が決まったという。再度クビにならないために、直後…

試合が全部終わるまで、満足とか安心はない

危機管理をモットーとする捕手出身の監督の思考。安心には慢心が潜んでいる。

勝負とは、①頭で考える ②見つける ③試す

勝負に挑むために必要なこと。

一日も早くレギュラーになり、高給をとって親孝行したかった

プロのなる=母親孝行をすることだった。だからこそ、レギュラーになってお金を稼ぎたかった。捕手はレギュラーが一度固定されると、その座はなかなか空かない。野村は大ファンだった巨人を断念し、正捕手が30歳以上の球団を調べて、南海と広島が該当。育成…

「捨てゲーム」なんて、ワシは言ったことがないはずや。「捨てゲーム」だなんて、お金を払って見に来てくれたお客さんに失礼や

ヤクルト監督時代、野村のコメントであるかのように、新聞で「捨てゲーム」と書かれたことに対する反論。

「男と生まれてなってみたいものは、オーケストラの指揮者と連合艦隊の司令長官、それとプロ野球の監督である」という言葉がある。男子憧れの職業や。ワシは監督になれたんやから幸せやな

指揮者、司令長官、監督は、千差万別の個性や才能、力量ある者を集めて、訓練し、統御し、自在に指揮してひとつの完成品を作り上げるのが仕事。そこに男の生きがいがある。

この花、兄貴とよう食ったわ。懐かしいな。甘いんだよな

ヤクルト監督時代の1997年5月。神宮外苑では濃い紫色のつつじが満開になる。花の美しさを伝えた記者に、野村はその美しさではなく、味で答えた。貧しい少年時代だった。3歳上の兄と新聞配達、アイスキャンディーを売り、子守などをして家計を助けた。新聞配…

ワシは支配下選手やからな

野村の“監督”は夫人の沙知代さん。「世界広しと言えども、あの人についていけるのは私だけだと密かに自負している」。2017年12月8日、沙知代さんは85歳でこの世を去った。野村は、二人三脚で人生の荒波を乗り越えてきた最愛の伴侶を失った。

人はいろいろ言うけど、オレにとってはいい女房や。あいつはプロ野球選手の妻としては最高や

愛妻・沙知代さんは料理上手で、野村の食事はすべて作る。野村の来客の際は、お手伝いさんには何も頼まず、自らお茶やコーヒーを用意するという。そんな沙知代さんについて、野村は「怖い、かわいい」。

「野村克也引く野球はゼロ」と私はよく言うが、「野村克也引く沙知代もゼロ」である

照れ屋の野村だが、その野球愛、夫婦愛は深い。2017年12月8日、沙知代さんは85歳でこの世を去った。野村は、二人三脚で人生の荒波を乗り越えてきた最愛の伴侶を失った。

ボロボロになるまで生涯一捕手を貫きます

当時42歳。現役か引退かを悩んだ野村は、尊敬する評論家・草柳大蔵に相談。草柳は「人間、何かを求めている限り、一生涯が勉強ですよ。やりたければ、やればいいでしょう」と説き、野村は「自分は野球の奥に向かって歩いている。まだ中途のところにいる人間…

本音を吐くと50歳まで現役をやりたかった

「50歳で二軍に落ち、給料10万円でもいい。どうせ私は契約金ゼロ、初任給7000円で入団したんですから。最後は二軍に落ちてクビになり、これで人生ひとまわり」。

野球は人生そのものだ

“監督にとって野球とは?”という問いに対して。奇しくも、長嶋茂雄が巨人監督を優待したときの言葉と同じ。

私は情にもろい。だから選手、コーチとは一切食事には行かない。いざというとき、切れんからな

勝負のとき、情がからむと冷静な判断ができなくなるから。指揮官は孤独なのだ。

選手の仲人はしない

引き受けない理由は、野村が結婚したとき、当時南海の鶴岡一人監督に仲人をしてもらえず、自分の結婚式の1週間後、別の選手の結婚式では、鶴岡監督が仲人をしたことを知り、ショックを受けたから。「本当に悲しかった。選手に同じ思いをさせたくない。あの選…

信頼というのは、自分を大事にするところからスタートする。どれだけ自分を愛しているか、と同義語のような気がする

自分を知り、愛することで、戦いに挑める。

誰がどんな能力を持っているか。しっかり把握することが、「勝つこと」への大きな条件

分業制が進んだ野球界で必要なこと。そのためには、よく観察することから始まる。監督は選手の意見を聞く力、選手を見る目が問われる。よい状態は何球までか? スタミナは? 性格は? けん制やクイック投法、一番優れた球種などを見極める。

「人を教える」ということと、「自分がプレーする」ということは、まったく別個の資質が要求される

「名選手、名監督にならず」という言葉もあるが、逆に無名選手でも名監督になれる。

コーチの第一義は、自信を無くしている、目標を失っている選手に、いかに意欲を出させるか、ということ。日本一の理論を持っていても、その使い方を間違えれば、選手は動かない

リーダー、係長、課長、部長……役職のある人間は、部下のやる気を引き出す対応が求められる。そのひとつが“対話”。

指導者は「中心軸」が必要。中心軸とは、「信頼」「信用」「尊敬」「人望」

王貞治元ソフトバンク監督を評して。ソフトバンクの選手たちは、王監督を尊敬し、その気持ちを口にしていた。「王監督のために」「王監督を胴上げしたい」など、よいムードが漂っていた。

自分の持っているイメージと違うと、すぐ矯正しようとする。こんな上司のもとにいる部下は不幸

育てるということは、部下に合ったものを見つけてやること。

小さな失敗ほど、厳しくチェックする

監督としての基本姿勢。放っておけば、後の“大過”となる。

ナポレオンは「人を動かす2つのテコがある。それは恐怖と利益である」と言った。私はこの2つに「尊敬」を加えたい。リーダーは「利益と尊敬と、少しの恐怖」で組織を動かしていくべきで、その潤滑油が「笑い(ユーモア)」だ

ユーモアも戦力だと考えている。「ムードは大事。ムードがいいとチームはうまく機能する。お通夜みたいなベンチでは、勝てるものも勝てない」。