リーダーとは
リーダーは部下とも戦っている。敵は組織の外だけでなく、内にもいるのだ。
「適材適所」は、リーダーにも求められる。
阪神監督2年目のオールスター期間中、久万俊二郎オーナー(当時)に対して。「球団の心臓は編成部。それを理解しているのですか?」と改革を迫った。経営者や社長など、リーダーと呼ばれる人間の周りには、「イエスマン」が増える。耳の痛い話、本当の話をし…
「何事にも段階はある。省いてはダメ。一足飛びにリーダーになって成功した例は聞いたことがない」。簡単に起業できる昨今、「組織にいたくない」「人に使われたくない」と社会経験も乏しく、技量も伴わないのに、経営者になろうとする若者が増えている。ど…
負けた日のコメント。野村は敗戦に対して、いつも潔い。言い訳をしない。ユーモアを交えながらも、「最終的な責任は自分にある」と真摯に受け止めている。責任を取るリーダー。
2007年、オリックスに敗れ、楽天が単独最下位になって。環境が悪いときほど、ユーモアが必要。野村流のリーダーシップと言える。
それだけに継投がうまくいって勝つと嬉しい。「“どうだ。今日のヒーローはオレやな”と胸を張りたいほど」。
グラウンドで、試合前にミーティングで、選手に飛ばすゲキ。責任はリーダーが取る。だから、選手は全力を尽くせる。
野村がたびたび口にする組織論の原則。リーダーは判断力、決断力を付けること。その根底にあるのは信頼感。戦略や戦術を練ること。これが説得力、指導力、統率力につながる。「チームを強くするためには、監督自身が成長、進歩しなければならない」。
選手が動きやすい指示を出せるかどうかで決まる。「指示はいかに、簡素化するかが大事」。
「好き嫌いで使うリーダーは最低のリーダー」と肝に銘じている。
ヤクルト監督時代、中心選手として成長してきた古田敦也捕手への助言。「リーダーとして、自分の所属する組織とどのように向かい合うか。何を伝えてゆくのか。ただ技術を教えるだけなら、それほど難しくない」。
1998年、ヤクルト監督を辞任する前に報道陣に向かって。監督在籍時、年賀状は1000枚送られてきたが、監督を辞めると700枚ほどに減るという。“地位がある人に、人は群がる”という現実が見える。
「飯田からミットを取り上げたんや。キャッチャーより外野の方が向いとった。適材適所や。キャッチャーのままだったら、こんなに活躍しとらんやろ」飯田哲也は1986年ドラフト4位でヤクルト入団。当時は捕手だったが、野村が監督に就任すると、足が速い飯田は…
南海から、ずっと弱小球団を率いてきて。意識改革には時間がかかるが、それをするのもリーダーの重要な仕事。
1990年、40年の歴史で優勝わずか1回、前年まで9年連続Bクラスというヤクルトの監督に就任したときの言葉。
「結果がわからないから決断が必要。結果がわかっていることに、決断は必要ない」。
「リーダーシップとは人を動かし、先を読むこと。人を動かすのは、生きがい、やりがい、夢、希望、目標、目的、ビジョン、興味、関心」。
権力は地位が上がれば付く。権威は人を知り尽くすこと。「権威なくして権力はありえない」。
夢を語る人のそばに、人は集まる。
なかでも重要なのが「人づくり」。人がつくれなければ、チームも試合もつくることはできないからだ。
リーダーに求められるものは、ビジネス能力だけではない。
語り合い、理解し合うこと。よい上司は、部下に発見の喜びを与える。
選手が自分なりの考えを示せば、結果は問わない。逆にヒットが偶然出た場合、「次につながらない」とあまり喜ばない。一度もバットを振らず三球三振に倒れても、「全部まっすぐを待っていたが、三球ともカーブが来た」と理由があれば怒らなかった。