リーダーとは
コーチは教えたがりではダメ。選手自身の中に疑問を生じさせ、向上するための知識欲が充満する方向へ導くのが、本来のコーチ術であり、指導の道。
「どのように接し、いかなる言葉を投げかければよいかは相手次第」。性格は千差万別。同じ態度で接しても、反発したり伸び悩む選手もいる。「そのサジ加減が指導者の醍醐味。ふとした一言が選手を発奮させたり傷つける」。選手へ的確な指導を個々に与えるこ…
V9の巨人を率いた名将・川上哲治の指導を振り返って。日本には昭和のカミナリオヤジがいなくなった。
「だから判断は間違ってはいけない。基準があるのだから。決断は賭けである。何に賭けるかが大切」。
若手選手と接するときは特に大切。打者がカウントや状況、配球パターンなどを考慮して、結果として失敗した場合、「できるだけの準備をしたのだから」と叱らない。「全力を尽くした上での失敗から学ぶことは少なくない」と知っているから。
真の指導とは、新たな選択肢や視点を与え、試させて、気づかせること。
“再生工場”と言われる野村は、「選手の考え方を変えるのは、本人が気づくことができるか、にかかっている。指導者は気づかせてやることが大切」と説いた。あくまでも「変わろう」とする本人の意思が大切。自分を変えられるのは、自分しかいない。
2008年6月18日の阪神戦で黒星。監督通算最多敗戦となる1454敗目を記録した。弱小球団を率いて再建してきた名将の“勲章”でもある。
南海のエースとして活躍した江夏豊、江本孟紀、主砲の門田博光を評して。手がかかる子ほど可愛いもの。そして個性豊か。結果を出す才能もあふれていた。「オレはこの3人に育ててもらったと感謝している」。
「人材育成とは自信を育てること。つまり、不安材料を取り除いてやること」。
エースや四番は、自分が周囲に与える影響力を十分に意識すべし。
組織を仕切る仕事において求められるもの。
感謝の気持ちは、言葉にしてこそ伝わる。
“ボヤキのノムさん”がボヤく理由。「ボヤキは悪い行為ではない。裏を返せば、理想を持っているということ。理想が高ければ高いほどボヤキたくなる」。
捕手は、チームで唯一、他の選手と逆方向を向いている。しかも一人だけ座っている。異なる視点と視野で、戦局を見つめているのだ。「捕手は守りにおける監督の分身」。
選手によくかける言葉。自らを奮い立たせる勇気こそ、決断を後押しするエネルギーだ。
「得意の時、すなわち失意の悲しみを生ず」。勝って得意になったときには、すでに負ける要素が忍び込んでいる、という意味。野村は中国の古典を好み、『菜根譚』の言葉を頻繁に使う。
危機管理をモットーとする捕手出身の監督の思考。安心には慢心が潜んでいる。
ヤクルト監督時代、野村のコメントであるかのように、新聞で「捨てゲーム」と書かれたことに対する反論。
指揮者、司令長官、監督は、千差万別の個性や才能、力量ある者を集めて、訓練し、統御し、自在に指揮してひとつの完成品を作り上げるのが仕事。そこに男の生きがいがある。
勝負のとき、情がからむと冷静な判断ができなくなるから。指揮官は孤独なのだ。
引き受けない理由は、野村が結婚したとき、当時南海の鶴岡一人監督に仲人をしてもらえず、自分の結婚式の1週間後、別の選手の結婚式では、鶴岡監督が仲人をしたことを知り、ショックを受けたから。「本当に悲しかった。選手に同じ思いをさせたくない。あの選…
分業制が進んだ野球界で必要なこと。そのためには、よく観察することから始まる。監督は選手の意見を聞く力、選手を見る目が問われる。よい状態は何球までか? スタミナは? 性格は? けん制やクイック投法、一番優れた球種などを見極める。
「名選手、名監督にならず」という言葉もあるが、逆に無名選手でも名監督になれる。
リーダー、係長、課長、部長……役職のある人間は、部下のやる気を引き出す対応が求められる。そのひとつが“対話”。
王貞治元ソフトバンク監督を評して。ソフトバンクの選手たちは、王監督を尊敬し、その気持ちを口にしていた。「王監督のために」「王監督を胴上げしたい」など、よいムードが漂っていた。
育てるということは、部下に合ったものを見つけてやること。
監督としての基本姿勢。放っておけば、後の“大過”となる。
ユーモアも戦力だと考えている。「ムードは大事。ムードがいいとチームはうまく機能する。お通夜みたいなベンチでは、勝てるものも勝てない」。
好かれることを気にして気疲れしている人、嫌われることを恐れて本音が言えない人には耳が痛い。