「野村の極意 人生を豊かにする259の言葉」
「だから判断は間違ってはいけない。基準があるのだから。決断は賭けである。何に賭けるかが大切」。
「ちなみに私は入団2年目の終わりから3年目にかけて、その時期だった。24時間、野球しか考えていなかった」。
大切なのは失敗を次につなげること。結果よりプロセスを重視する野村イズム。
若手選手と接するときは特に大切。打者がカウントや状況、配球パターンなどを考慮して、結果として失敗した場合、「できるだけの準備をしたのだから」と叱らない。「全力を尽くした上での失敗から学ぶことは少なくない」と知っているから。
真の指導とは、新たな選択肢や視点を与え、試させて、気づかせること。
センスとは「感じる、考える」ことで磨かれる。監督やコーチは、本人の資質にプラス思考のアドバイスを送ること。指導者の役割は“気づかせ屋”。
“再生工場”と言われる野村は、「選手の考え方を変えるのは、本人が気づくことができるか、にかかっている。指導者は気づかせてやることが大切」と説いた。あくまでも「変わろう」とする本人の意思が大切。自分を変えられるのは、自分しかいない。
指揮したすべての球団で、野球と直截関係ないことを口酸っぱく伝えてきた。
「野球という仕事を通じて人間形成、人格形成に励め。人格や品格を落とす行動や言葉は避けろ」。
「一芸はすべての道に通じる」。だからこそ、他のことにも目を向ける。
捕手として、味方投手に何を投げさせようか苦心していた日々、「敵投手の持ち球を、敵の捕手はどう使いこなしているのか、いかなる意図でサインを出しているのか、知ることで優位に立てる」と気づいた。ライバルの立場になることで、思わぬヒントが隠されて…
「苦しいことを苦と思わない。それを楽しいと思えるほど野球が好き。苦しみも冷静に考えれば“楽しい”と思う瞬間がある」。最近「試合を楽しむ」「勝負を楽しむ」という言葉を安易に使うスポーツ選手が多いことについての苦言。「“楽しい”という言葉を間違っ…
「人前で話すことを苦手としていた私が、講演や解説を引き受けるようになったときに思ったこと」。これを機に、それまで以上に本を読んだり、試合を注意深く観察するようになった。その積み重ねが、それまで縁もゆかりもなかったヤクルトの監督就任の依頼に…
2008年6月18日の阪神戦で黒星。監督通算最多敗戦となる1454敗目を記録した。弱小球団を率いて再建してきた名将の“勲章”でもある。
形に表せない力こそが大切。それを実感できるか。
「3-2というカウントは面白い。打者は2-2まではボール球を打たないように気をつけるのに、3-2になるとストライクが来ると思い込む。選球眼のタガが緩む。ボールの誘い球につい乗ってしまう」。「ただし、打者の選球眼の分析をしっかりしておくこと」。
全力投球で真っ向勝負することだけがプロの勝負ではない。「全知全能を使ってこそ、プロの戦い。ボール球の効用を理解してこそ、名バッテリーと言える」。
捕手の条件。セオリーどおりではダメ。ときには奇策を交えないといけない。
相手打者が「いい球を見逃す」「いいバッティングをする」「誘い球に手を出してこない」。捕手はそこで「なぜ?」と考える。「一球一球が、なぜ?なぜ?の連続である。捕手は細かい情報が欲しいのだ」。
配球には、捕手の特徴、性格がよく反映されるという。
かつて指導した南海の江夏豊やヤクルトの石井一久を評して。「“打つなら打ってみやがれ”という自信満々の態度がよかった。雰囲気、強気で打者を圧倒していた」。
南海のエースとして活躍した江夏豊、江本孟紀、主砲の門田博光を評して。手がかかる子ほど可愛いもの。そして個性豊か。結果を出す才能もあふれていた。「オレはこの3人に育ててもらったと感謝している」。
大成する人の共通項に“遊び心”があると言う。「あくまでも仕事にプラスになる遊び」。
人は、他人の評価で価値が決まるもの。自分自身を絶賛していては、真の価値を見失う。
新人の頃、ハワイキャンプで門限を破って遊んでいた先輩が、監督からひんしゅくを買ったのを機に、野村が一軍での出場機会を得られるようになったことから。
プロ野球の一員として南海に入団したときに感じたこと。レギュラー選手との差を実感した。だが、自らの不足に目を背けず、ひたむきにあきらめず頑張り続けた。
「あのとき、母が他界していたら、今の自分は100%なかった。小学2年のときと3年のとき、母は二度ガンに見舞われ、戦前の医学でありながら奇跡的に助かった」。「苦労しながら、病弱な体で頑張りぬいて支えてくれたから、今の私がある」。プロ野球界で選手・…
3歳のとき父が戦死し、母子家庭で貧しい生活を強いられた幼少期だったが、母の愛情に育まれ、たくましく前向きに夢を持って成長したと自負している。大切なのは、形あるものではなく、愛情という無形のもの。
ハングリー精神が足りないと言われる現代の選手に対して。
常に弱小球団、注目度の低い球団で監督をしてきた野村が、注目度や人気が抜群に高い阪神の監督に就任したことで味わったこと。