「私が責任を持ちます。結果が出なければ、私も一緒に辞めます」これは、当時のヤクルトの球団社長だった相馬和夫さんが役員たちに対して言い放った言葉である。野村は、相馬社長からリーダーが備えるべきもっとも大切な条件のひとつを教えられた。リーダー…
ある財界人によると、経営者に最も大事なのは「熱意」だという。「学力、知識は少し劣ってもいい。熱意の劣っている人を経営者にしてはいけない。熱意のある人には人がついてくる」。野村も、熱意のない人間には監督は務まらないと思っている。プロ野球の監…
政治史や政教について書かれた中国最古の歴史書である『書経』に、この言葉がある。トップには、自分の考えが正しいとばかりに思っているタイプがとても多い。野球でも監督としての信念は必要だが、まわりの意見を聞く姿勢がなければ、勘違いして謙虚さをな…
チームの勝利や優勝を第一の目的とできない選手は、団体競技である野球に参加する資格はない。野村は、選手たちに、チームに貢献するプレーをすればお金も稼げるようになると教えてきた。
何年かにわたって2割5分前後の打率を残している打者がいたとする。1年の多くを一軍のベンチに座ることができているとすれば、おそらく安定を手に入れていると見ていいだろう。だが、この状況に満足するか、さらに上を目指すかがすべて。もし、現状維持で満足…
どんなに理にかなった練習や限界を超える厳しい練習をしたとしても、その成長はわずか1でしかない。実戦で経験し学ぶことで、人は飛躍的に成長する。実戦における成功体験は、成長スピードを加速させる原動力になる。だからといって、練習を過小評価している…
鈍感な人間というのは、感動したりショックを受けたりすることが少ない。とことん凹むということは、感性が鋭いということである。これは、どんな仕事においても大切な要素だ。
どんな仕事をしていても、必ずどこかで壁にぶち当たる。そのときに、「この壁は、どうして自分の目の前に立ちはだかっているのか」「原因はどこにあるのか」と疑問を持つ。その問題意識こそが、成長につながる。
その可能性がいつ開花するかは誰にもわからない。たしかなことは、努力を続けていれば必ず可能性は引き出される。そして、可能性に限界はない。
監督・野村克也は、レギュラーに気を遣うことはほとんどなかった。一方、控えの選手にはいつも気を遣っていた。彼らに希望を失わせてはいけないからだ。希望がなくなると彼らの成長が止まってしまう。だから、彼らの気持ちが野球から離れないように心を配っ…
コーチの生きがい、やりがいとはなんだろうか? それは、育てた選手がレギュラーを獲り、活躍する姿を見ることと、チームが強くなっていくことではないかと思う。選手にお世辞を言ったり、機嫌を取ったりするようになったら、要注意。コーチ自身が自分の仕事…
いまは教えたがる人間が無数にいる。そういった人間に手取り足取り指導されると、選手は「考える力」をなくしかねない。大切なのは、質問を投げかけ、選手の頭のなかで思考をめぐらせるように仕向けること。