組織・チーム
分業制が進んだ野球界で必要なこと。そのためには、よく観察することから始まる。監督は選手の意見を聞く力、選手を見る目が問われる。よい状態は何球までか? スタミナは? 性格は? けん制やクイック投法、一番優れた球種などを見極める。
リーダー、係長、課長、部長……役職のある人間は、部下のやる気を引き出す対応が求められる。そのひとつが“対話”。
王貞治元ソフトバンク監督を評して。ソフトバンクの選手たちは、王監督を尊敬し、その気持ちを口にしていた。「王監督のために」「王監督を胴上げしたい」など、よいムードが漂っていた。
育てるということは、部下に合ったものを見つけてやること。
監督としての基本姿勢。放っておけば、後の“大過”となる。
ユーモアも戦力だと考えている。「ムードは大事。ムードがいいとチームはうまく機能する。お通夜みたいなベンチでは、勝てるものも勝てない」。
集団を強くする要素。「愛情を育てればチームは強くなる。プライドとは、恥を知ることから生まれる」。
「日本のコーチは親切過ぎる。教えたがる。自分の存在感を押し付けている。コーチは“手助け屋”でいい」。
リーダーは部下とも戦っている。敵は組織の外だけでなく、内にもいるのだ。
野村がたびたび口にする組織論の原則。リーダーは判断力、決断力を付けること。その根底にあるのは信頼感。戦略や戦術を練ること。これが説得力、指導力、統率力につながる。「チームを強くするためには、監督自身が成長、進歩しなければならない」。
ヤクルト監督時代、中心選手として成長してきた古田敦也捕手への助言。「リーダーとして、自分の所属する組織とどのように向かい合うか。何を伝えてゆくのか。ただ技術を教えるだけなら、それほど難しくない」。
1990年、40年の歴史で優勝わずか1回、前年まで9年連続Bクラスというヤクルトの監督に就任したときの言葉。
「リーダーシップとは人を動かし、先を読むこと。人を動かすのは、生きがい、やりがい、夢、希望、目標、目的、ビジョン、興味、関心」。
なかでも重要なのが「人づくり」。人がつくれなければ、チームも試合もつくることはできないからだ。