頭脳に限界なし
向上心こそ「考える」きっかけになる。野村は、自分の天性では2割5分が限界だと悟った。そこから「考えに考え抜いて」、自らの技術的限界を超えた。
選手に頻繁に言う口癖。知力の戦いに厳しさを求めている。
野球の本質のひとつ。こんなに“間”の多いスポーツも珍しい。「野球は終わったあとも、具体的に評論できる。これが日本人が野球を好む理由」。
孤独な作業や練習こそが、明日の自分を作る。
相手打者が「いい球を見逃す」「いいバッティングをする」「誘い球に手を出してこない」。捕手はそこで「なぜ?」と考える。「一球一球が、なぜ?なぜ?の連続である。捕手は細かい情報が欲しいのだ」。
プロに入るほどの素質があれば、野球に対する取り組み方や考え方次第では、そこまで行き着けるもの。
テスト生だった野村が三冠王を獲るまで成功した理由。相手投手や捕手の配球を分析したり、16ミリカメラを使ってクセを発見したりしてデータ化した。ノート数十冊分にもなった。当時は“データ分析”という言葉はなく、“傾向”と呼んでいた。
レギュラー出場するようになった若手時代、打ち込まれてベンチに戻ると、南海・鶴岡一人監督から叱責された。配球などを質問しても「勉強せい!」と突き放されて、途方に暮れた。
目標を持ち、徹底的に考え続けた結果である。「際立った野球の才能に恵まれなかった私が生き残れたのは、“母に楽をさせてやりたい、兄に恩返しをしたい”という強い意志と目標があったからこそ」。
工夫することで、きっかけ、変化が生まれる。
思考と行動は連動している。
「何がしたいか」ではなく、「何が向いているのか」という視点は重要。
ヤクルト監督として、3度目の日本一に輝いた1997年シーズンを振り返って。
ピンチをチャンスに変えるのは、まず自分の心。
「人生を生き抜く上でなくてはならないエンジンとは、理想、情熱、信念」
弱いチームを率いてきた野村が目指す野球。野球は頭でするもの。ノーヒットでも点を取る方法がある。長打はなくても機動力と小技で点は取れる。巨人のような戦力がなくても、ないなりに戦う方法はある。これが野村戦法。
楽天の三木谷浩史オーナーに話した言葉。
勝負に挑むために必要なこと。
2007年8月のロッテ戦。先発投手ながら背信投球で1回途中、4失点で降板した投手に対し、厳しい言葉で先発投手の責任感を促した。
現役時代、レギュラーの座を守るために、自らに課した考え。野村は、当時まだ誰もやっていなかったデータ分析や、ピッチャーのクセを研究して相手バッテリーの配球を読むことで、技術的限界を乗り越えた。