努力とは
誰にでも試練や苦難がある。それを乗り越えた経験は、人生の財産となる。試練を歓迎するくらいの気持ちで向き合えば、人生は拓けるものだ。
それにより、今、何をすればいいのかが見えてくる。「目的と現実の間を埋めるには、努力に加えて、知恵をつけること」。
1970年、選手兼監督(プレーイング・マネージャー)に就任。ただでさえ忙しいキャッチャーのポジションに監督業まで加わり、とにかく時間がなかった。だが、そのおかげで「時間の使い方がうまくなった」。
若手時代、野村のバッティングの長所は「ストレートに強いこと」、短所は「カーブが打てないこと」だった。相手ピッチャーは重要な局面でカーブを投げてくる。野村はカーブを意識するあまりストレートも打てなくなり、長所が弱まってしまった。短所を放置し…
本質がわかっていない人間は、間違った方向に努力してしまう。本質がわかっている人間は、自分を正しい方向に導くことができる。たとえば、「ピッチングの本質はコントロール」。
努力をする、というと無我夢中で何かをすることのようなイメージがあるが、それだけではない。必死に感じる力を使って発想を広げるということも努力なのだ。
人より努力をしたのに、結果を出せない人は多い。これは「練習をたくさんした」というところで満足しているからだ。「努力による結果」ではなく、「努力そのもの」が目的になっているのである。
打者の嫌がる外角低めに決めるには? 同じフォームであらゆる球を投げるには? 同じ球種で効果的な緩急をつけるには? テーマはいくらでも出てくる。これらをひとつひとつ解決していくことで、その人は段階的に成長していく。
「もっと頑張ればよかった」。プロ野球の世界で活躍できず、途中で辞めることになった選手は、みんな最後に同じことを言う。
人間というものは、好きなことなら、夢があるのなら、いくらでも頑張り続けることができる。
自分の持ち味を発揮するために大切なこと。自分の持ち味は何なのか、自分は何ができるのか、自分の長所を誰にも負けない武器にするには何をすればいいのか、何をすべきなのか、徹底的に考え、磨いていく。その中から自分を活かす道が拓けてくる。
努力を努力だと思っているうちは、半人前。「当たり前のことを当たり前にするのがプロ」。
皓歯とは、白い歯のこと。「何をするにしても、少なくとも三年間は白い歯を見せることなく、歯を食いしばって、無我夢中で取り組みなさい」という意味。
プロ選手である限り、そこそこの成績をあげていれば、世間一般よりずっといい生活ができる。周囲もちやほやしてくれる。「もうこれで満足だ」と思ってしまうのも不思議ではない。だが、その時点で成長は止まる。満足は成長への最大の足かせなのだ。
なぜ、うまくいかなかったのか。何がいけなかったのか。どうすればうまくいくのか。そのためには何をすればいいのか。
「人が自分を見ている」という意識があるかどうか。日々をそういう姿勢で送っていれば、自然と経験やノウハウなどが蓄積され、それらを必要とし、活かす場が必ず与えられる。
努力は続けていれば、いつかは必ず実を結ぶ。テスト生から三冠王まで上り詰めた野村自身が何よりの証拠。実を結ばないのは、「努力即好結果」と期待するから。
目標、夢とはつまり「動機づけ」。これが弱ければ、いくら高い潜在能力と可能性を秘めていようと、永遠に眠ったままということになりかねない。目標や夢が物事に取り組むための意欲と情熱を引き出すのだ。
努力するということについて、野村は誰にも負けなかった。人の倍以上練習したし、毎夜の素振りも欠かすことはなかった。けれど、「つらい」「苦しい」などとは一切感じなかった。それどころか「楽しい」とさえ思った。なぜなら、忍耐の裏側には「一流になれ…
ある考え方、やり方のもとで成果が出ないなら、変わる勇気を持つことだ。変わる勇気を持つことが、成長を促す。
時間は誰にでも平等に与えられている。目的を持って過ごすのも、無為に過ごすのも自由だ。しかし、その使い方によって生じる結果は大きく変わってくる。決して平等ではないのだ。
テスト生から這い上がり、3年目にレギュラー、4年目にホームラン王になった野村だが、そこから突然打てなくなった。「練習が足りないからだ」と考え、それまで以上にバットを振ったが、結果は出ない。打てなくなった原因は、相手に研究されたことにあった。…
向上心こそ「考える」きっかけになる。野村は、自分の天性では2割5分が限界だと悟った。そこから「考えに考え抜いて」、自らの技術的限界を超えた。
努力は大切。だが、がむしゃらな努力は見当違い。「優れた才能を持ちながら使い方を間違えたり、自分が向いているのは別の方面なのに、方向違いの努力をしている選手もいる」と警鐘を鳴らす。まずは自分を知ること。向き・不向きなど、自分に対する“適材適所…
何に対して努力をするのかが問われる。「自分自身の能力を知り、それに向かって努力してこそ、道は切り開かれる」。
自分をだまし、相手をだましながら、ピンチをしのぐ。「そこからは決して努力は生まれない」。
“長所を伸ばすには、短所を捨てろ”は性格面のこと。「技術面では、“長所を伸ばすには、短所を鍛えろ”。短所と長所の差が開くほど、長所を殺す。長所はある意味で天性。放っておいてもできる。短所は弱点。この差を何とか狭める努力をしてきた。何でもバラン…
孤独な作業や練習こそが、明日の自分を作る。
「だから、お互いに気軽に“頑張れ”と激励しあっても、違和感がない」。
毎年シーズンオフに解雇される選手が、異口同音に「もっと頑張っておけばよかった」と言うのを聞いて一番感じること。「いつの時代も同じ。チャンスのときにやらず、ピンチのときに気づく」。